天咲葵(3)
白雪(3-4)
石原さゆみ(2-4)
金魚(-)
小宮山せりな(2-3)
現場終わりに向かう。押していたおかげでさゆみさんの2回目M1終盤に滑り込み。
白雪さん『無常』『おんな』。
表情が控えめになったことで、観客のほうから演目に入り込む余地がずっと増えた。押しの強さは慣れと共に生じていたと思うし、しばらくはこの路線でパフォーマンスが続くかなと考えていたが、週の半ばにして修正をかけてきた。変化を恐れないスタンスは退歩も辞さないようで、見習おうにもここまで素直になりきれる気がしない。ポーズベッドが完全に「踊り子」としてのステージになっていた。正統性に個性を譲ることにかんして、まだはっきり立場を決めかねているが、こちらのやり方のほうがずっと楽しめるのは間違いない。
『おんな』の眼鏡やたばこの扱いもちょっとずつやり方を変えていく。聴診器とポーズの噛み合わせもどんどん確かな形になっていく。あと、この回は森さんの照明がギンギンに冴え渡っていた。
さゆみさん『ダンス』『キッチン』『新作』。
『ダンス』はM1終わり頃に見始めたので冒頭の変化は掴めていないが、黒いシャツにスラックスというマニッシュな装いが一転してドレス姿という大変化を起こしている。髪には新作でも使っているものと思しき花飾りまである。舞台奥には椅子が。前半でどう使われたのか分からないが、M3移行時に靴を並べて置くという使われ方をしていた。
ベッドもポーズの比率を増していて、旧バージョンからどういう思考の変化があったのか気にかかる、もう一度くらい見ておきたかった。一点、立ち上がりは旧バージョンの髪を解いたかたちがよかったかなと感じた。武藤さんの影響なのだろうか...
『キッチン』爆音でM1が流れ出して笑ってしまう。この曲の歴史上最もでかい音で再生されたのではないか。
M2、洗濯ものを畳むシーンからの言及になったが、前半は箒といっしょに踊っている。さゆみさんも小道具が似合うというか、締まる感じがする。それにしても、洗濯もののたたみ方が雑である。
M3のメロウな空気への転換は、しばし宙空を見つめるだけ。さゆみさんの表情は笑顔か真顔かの二択というじつに狭いレンジで発生する。にも関わらず、どんなに豊かな動きを見せる表情の持ち主よりもずっとその顔つきを追ってしまう。ぼんやりと空に遣った視線がキッチンの扉から酒と煙草を取り出すことで隠れて、観客からは背中しか見えなくなると、その向こうにどんな顔があるのか想像してしまう。同じ顔つきがずっとあるはずなのに、見えない顔にさまざまなニュアンスが殺到してくる。演技などではなく、もはやただ突っ立ってるだけだというのに、それを見ていると涙が出てくる。
最終回なのに、森さんが盆を上げ損なって大事なニュアンスを取りこぼしてしまう。もう!ふつうの盆入りに。それもあるのか、先日涙したポーズにはそれほど強い感興を得なかったが、夫を迎える前に両手の人差し指で頬を押し上げて笑顔を作る仕草で決壊するように泣いてしまった。感情移入とも違うのだが。
あんまり理由を探してもうまく説明できそうにないので回避してしまうが、先日見たときは拾えていなかったこの仕草が再見で"発見"されたとき、この演目の具体性がより明瞭になったことに対する涙、なのかもしれない。
ここまで関心を持っていて変な言い方だが、さゆみさんの中でも好きな演目なのかどうなのかもちょっとわからない『キッチン』は、それでも石原さゆみという人への信頼が増した演目であることには違いない。なんという不思議な人なのだろう。
さゆみさんからキンスキーさんへの「準皆勤賞」を渡すように預かって、それを恙無く本人へ手渡したのだが、都合があったとはいえ俺が渡しちゃってよかったかな...とあとから思った。