2021年10月3日日曜日

10月3日(日) [A級小倉劇場]

栗鳥巣(1-2)
宇佐美なつ(1-3)
松本なな(1)
山口桃華(1)
中条彩乃(1-2)


朝から小倉の街をひたすらうろうろして、11時頃に博多から来た友人と合流。劇場そばの天ぷら屋で昼食をとってから、開場とともに入場。


ストリップに慣れない友人と見ていると、その感想が気になるだけでなく、たぶん、その新鮮な視線を想像的にトレースするようなことが少し起きる。それで「positive」のM1-M2で明るく可愛らしく踊っている姿を見ていてふと、あれ、この人本当にこのあと脱ぐの...?と思ってしまい、なぜか一瞬ドキドキしてしまう。もう100回くらい見てるのだが...

「黒煙」は、初見でそのグルーヴィーさにノリまくりで見たことを思い出すとともに、この4ヶ月ステージを観続けたことで開発された「エロさ」をキャッチするアンテナとの合わせ技で、陶然としてしまう。
大和での感想にも書いたことだけど、前半の睥睨するような冷たい視線のありようが、後半、にわかに意味を変えてこちらの官能をひたすら刺激するような眼になってくる。つまらない例えだが、「北風と太陽」のように、コートで身を固めた姿は観客にとっても防衛的に距離を計り合うような関係になるが、じょじょにその衣服が脱ぎさられていくことで、こちらも共に心の鎧を捨てていくような感触がある。
ただ、(これも何度も書いてるが)そうした先に、どこか厳しい一線が引かれているようでもあり、その「エロさ」は解消/融和の手前でそれこそ煙るように広がっていくばかりで晴れることがない。官能の高まりは頂点を目指して這いあがっていくが、その手前で、官能の高まりを与えてくれる対象が隠れてしまう。
一般的な倫理観のうえで、人は関係する内に互いの平衡を保とうとするが、それと同時に、誰かを振り回したり、あるいは逆に誰かに振り回されたいと思う非合理も抱えている。人間関係は信頼というファクターによって、フェアネスの振り幅を大きく更新する。ストリップという文化が持つ演者と観客の信頼関係を前提にしたうえで、「黒煙」はこの振り回し/振り回されの非合理、すなわちエロティシズムにがっつり踏み込んでいる。
自分は、あらゆる人間関係において対等を望んでいるけど、この演目を見てる瞬間、この演目を演じている宇佐美さんになら振り回されてもいい、と今回はっきり思ってしまった。これは、かなりな感覚だと思う...

中条彩乃さん「ノンフィクション」。この3日間でいちばん集中して見ることができた。特異な構成に慣れてきたのもあるが、着衣/脱衣の境界がスタートからあいまいに設定されているので、むしろ純粋にその踊りや表情を見ることができる。
とはいえ、そのあいまいさはキーポイントでもあるように思う。裸体を遮り、時には強調する複数の布=ヴェールの存在は、裸体が時に背負うことになる”真実性”を揺らす。揺らす、といっても知的な結構によってというより、それが単にありのまま=ノンフィクション的だという事実を忌憚なく見せている素直さに、こちらが身を正している、と言えるのかもしれない。私たちの身体は衣服を纏うものでもあり、纏わないものでもある、という両義性を行き来して踊る。それを思うと、逆行するような構成は、衣服を脱ぎ去っていくことで裸体の価値が不当に高まることを押さえている、とも考えられるかもしれない。


はじめて合ポラを撮ってみた。並びのオーダーで順列をつけることに微妙に抵抗があるのと、しかし香盤順に並んでポーズを取ってもらうだけではつまらないし...というのを、これならいいかなとオーダーが思い浮かんだのでやってみることに。思った以上にお姐さん方の自然な表情が写っており、これこれ、これが写真よね...となった。
完全な余談にもほどがあるが、その写真に映ってるひとりの踊り子さんの表情が、普段はまったくそうでないのに、かつて好意をもっていた女性のそれにそっくりで、思いがけない副産物があるなどした。

今回もまた、ちょっとした踊り子さんの振る舞いに勉強になることが多かった。募金のときにまで客イジりを忘れなかったり、お客さんから渡されたものへの扱いや、またお客さんの振る舞いを制するのにトゲのない仕方で介入したり。
このうち、そうした振る舞いでもっとも勉強になったのは、やはり栗鳥巣さんだった。その演目の特殊さ以上に、きわめて常識的な感覚をもった方で、この方が劇場にいれば安心することが多いのだろうなと想像した。

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